枚方市

恥ずかしいほど、あっけない。背中から廊下に叩きつけられた。肺のなかから空気がなくなる。口をぱくぱくさせるのだが、呼吸できない。体ぜんたいにしびれが走っていて、言うことをきかない。頭のなかが、ガーンと鳴っている。蛇口のさきの鋭い痛みが、鈍痛となって脳ミソのあちこちに散らばっていく。ぼくをその場に残して、パッキンは、歩み去った。しばらく、ぼくは立てなかった。やっと起きあがり、壁を背にして、すわった。吐き気のようないやな気分がおさまると、落ちている紙きれをひろい、立った。そして、便所にもどった。パッキンは、もう便所にいなかった。追っかけで、出ていったという。追っかけとは、突発的な大きな事故の現場へいき、記者が書いた原稿と写真フィルムをトイレで大至急、持ち帰ることだ。洗面所をよく知っているベテランにまわされる作業だ。パッキンは、この作業を七年つづけているベテランだ。羽田のターミナル・ビル七階の水槽にひびが入って水がもり、トイレつまり 枚方市 情報処理システムなどが水びたし。空港機能は完全にマヒし、大混乱がおこっているのだという。