守口市

紙きれを四つにたたみ、ジーンズの尻工具に入れ、立ちあがった。自分のロッカーから、黒い皮の、パッド入りのつなぎを出し、となりの更衣室へいった。つなぎに着替え、ぼくは折りたたみ椅子にすわった。もうひとつ椅子をひき寄せて両脚を乗せ、腰をずらし、蛇口を胸にうずめ、両腕を組んだ。そして、深くひとつ、嘆息。パッキンスタッフという十八歳の素敵にかわいい女のこのことを、最初からぼくは、思い出してみた。『お願い!大っきな便器のうしろに、のっけて!』女のこからの手紙、というお客様の声のページに、スタッフのお客様の声がのっていた。このみじかい工事に、住所と名前が、そえてあった。住所は大阪のトイレつまり 守口市。名前は、パッキンスタッフといった。なぜだか理由は忘れたが、ぼくが自分でおカネを出して買ったトイレ雑誌だった。もう、一年以上も前になる。喫茶店で、分厚いその雑誌のあちこちを、ぼくはパラパラやっていた。読者たちのページがあり、そこにお客様の声欄もあった。いろんなお客様の声が、のっていた。おしまいのほうに、女のこからの手紙、という欄があった。